“精霊”の生み出す力を糧として生を育む、三つの世界。
空間を隔てて隣接し、影響を及ぼし合うという三つの世界。
三つの世界に降り掛かった危機を回避する為に召喚されたのは、三人の騎士と――
――三人の、女子高生だった。


「お前は何処から来た? 何者だ?」
「何者とか言われても……一介の女子高生ですが」
「ジョシコウセイって何だ……?」


自ら第三の世界へ来ることを望んでいた騎士達は精霊の言葉を受け入れ、
世界の救済を引き受ける。
対して、強制連行されてきた女子高生達は、
理解の範疇を超えるお話と身に余る重責をすんなりと受け入れることなど出来なかった。


「そりゃまぁ、世界が3つあるとか魔法とか精霊とかよりは、
火星人の存在の方が信じられるもんなぁ」
「えぇーそうかなぁ。火星人もかなり信憑性低いと思うよ?」
「ふたりとも、あんまり緊迫感が無いね」


だが彼女達は、騎士達の願いと精霊の脅しによって、
三つの世界を救う旅に出ることを決意する。


『お前達に、拒否権は無いよ』
「頼む……俺達と一緒に来てくれ」

「ま、あたし達も、あいつら捕まってるんじゃ仕方ないしねー」
「異世界がどんなところか実は興味もあるし」
「それに何より、面白そうよね」







彼らに課せられたのは、封印された六つの精霊の解放。
過去に封印された、三つの世界の掌握を目論む魔族の封印解除の阻止。
封印解除の鍵となる人物の救出。
――ついでに、
女子高生達の巻き添えで第三の世界へ渡り敵に拉致された、友人達の救出。



「精霊さん消えちゃったけど……敵さんのいる場所とか、精霊の封印の解き方とか、
そもそもどこに封印されてるのかとか、色々と肝心なことを聞いていないような……
気が、するんですが……」
「「「「「…………あぁ」」」」」


彼らは時に惑い、


「何睨んでんの。あぁーそっか、
こんな間抜けな状況になったのが自分のせいだっていう自覚がある訳だ」
「この状況になった責任はお前達にも同じくらいあるだろう」
「“俺達が護るから問題ない”とか大層なこと言ってた割には言うことがちっさいですねぇ」
「何だと貴様。第一……」


時に口論し、


「民草をひれ伏させるのって……こんなに気持ちの良いことだったんだね……」


時にほくそ笑み、


「あー……今なら本当にくたばれそうな気がするー……」
「馬鹿野郎が!死ぬな……死ぬなよ……!!」


時に傷付き、


「もとよりあなたの質問に答える義務なんて私達には無いんですよ、オバサン
「んなっ!? オバ……!?」

「部外者がこの街の政治に口を挟むな!」
「黙れハゲ。モロに三下的な台詞吐いてんじゃねーですよ。だからハゲんじゃねぇの?
大体何よこの行いは。アンタ何様? あぁ〜神様か! 頭が輝いていらっしゃいますものねぇ」


時に敵を煽り、


「カイリってさ、タマちゃんに惚れてるでしょ」
「んなっ!!? ぃやっ、そ、そん、そんなことは……っ!!」

「タカ君、ハルちゃんのこと好きだもんねぇ。微妙な心境なんじゃない?」
「な、何言って……!」
「気付いてないの華奈先輩くらいですよ、弥鷹先輩」

「やはりな……お前は随分と、俺の好みの顔をしている」
「…………はい?」


そして時には恋なんかもしつつ、
三つの世界救済の為に全力で奔走する。

しかし、王国最強と謳われる騎士達はともかく、
一介の女子高生(多分)に、世界を救うことは出来るのか。


どちらにせよ、どうか彼の者達に幸運を。
精霊の、ご加護を。



Now, go on.
Because their tale has already started.





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